実は日本とさして変わらない米国出版事情 ●干場水曜日、出版ビジネススクールの金平聖之助氏による米国における書籍・雑誌出版とデジタス出版の最新情報の講演を聴いた。
非常に盛りだくさんの詳細な情報をたくさんご教授いただいたが(先日のグーグル和解問題の講演に続き、本当に濃密な内容で、それにつけても、わたしが行った講演が恥ずかしい……)、そのなかで、へえ、そうなんだ、と驚いたことを少々。
1 卸価格50%以下で、再販委託制度があるわけでもないアメリカでも、昨今のハードカバーの返品率は40%!
→以前までは、10%程度だったのが、レップ(出版社と契約して、書店に営業に行くプロ)の質量ともの低下によるとのこと。なんだ、それじゃ、日本と変わらない。
2 出版社の「上から目線」、「僕たち作る人、売れるかどうかなんて関係ない」体質が、読者や書店のニーズをとらえられなくなっていることの反省から、自分たちでつくって、自分たちで売る、という意識と体制への変換が求められているが、それが可能になっているのは、80年代以降急速に進んだ買収に次ぐ買収による巨大グループ化内の出版社ではなくて、インディーズ系の中小出版社。
→おやおや、それも、日本と同じだな。
3 デジタル出版、ネット書店の急速な広がりによる、旧態書店の経営の悪化。
バーンズ&ノーブルとボーダーズ(一時、バーンズ&ノーブルへの身売りが決定したのかと思っていたが)チェーン以外の書店は、4700店から1700店に減少。
→米国は、定価のうちの46%が書店の取り分だということですが、それでもたいへんなのか…。20%前後の日本の書店さんは、ほんとうにたいへんだ…。
また、アマゾンは、「クリエイト」の分野には進出しないと言っているそうだが、さて、どうなることやら。その気になれば、出来るわけで、だとすると、世界は、アマゾンとグーグルがあれば、すべて事足りる!?
4 巨大化した出版社グループのベストセラー依存、高額になりすぎた前払い金に上限をつける動き。
『コールドマウンテン』(ニコール・キッドマンとジュード・ロウ、レニー・ゼルウィガーの映画にもなった!)で一躍ベストセラー作家の仲間入りとなったチャールズ・フレイジャーの次回作を、ランダムハウスグループが、なんと、800万ドル(8億円!)で獲得。
結局、初刷り65万部で35万部しか売れず、ランダムハウスは、550万ドル(5億5000万円)の赤字! その後、金融危機となり、10万ドル(1000万円)を上限にしようという動きなそうな。
いったい、いくつ売れれば元が取れる? 100万部でしょうか?
いずれにしろ、こうしたベストセラーに依存する傾向は、編集者自身が高給サラリーマン化し、著者と一緒に格闘し本を生み出す、という人がいなくなった結果ではないかとの話がありましたが、これも、日本と似ている? (弊社は違うので(高給じゃないし)分かりませんが)
それにしても、8億円は、ちょっと日本ではあり得ない。払う方も払う方ですが、もらう方ももらう方。それで、売れなかったのだから、なんか、申し訳ない、と作家は思わないのかしら? 思うわけないね。会社がつぶれそうになっても、年収200万円くらいの従業員がたくさんいても、自分だけ、200億円とかの役員報酬を正当な権利としてもらって、罪悪感を感じない人たちの住む国のことなので…。
なお、昨日の記事の、ワシントンポストが選ぶ、現代日本で目立つトピックスの4つめは、「移民(中国からの移民)」でした!
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