アウトサイダー・アートの魅力 田口ランディ

はじめまして。「風の旅人」に連載をしている作家の田口ランディです。
3月2日の「新日曜美術館」(NHK教育テレビ)で、ゲストとして「アウトサイダー・アート」を紹介します。
アウトサイダー・アートとは、美術の専門的な教育を受けていない人たちが、自分の裡なる衝動によって創造したアート……と言いましょうか。日本においては「障害者アート」という枠になかに囲い込まれて、教養主義の芸術家集団からはほとんど相手にされてこなかった「アート」ですが、いま欧米ではこの「アウトサイダー・アート」が注目を集め高い評価を受けるようになりました。
今回、スイスのローザンヌ美術館の「アール・ブリュットコレクション」と「日本のアウトサイダー・アーティスト」の共同展が開催されるにあたって、番組でもまだ日本では馴染みの薄いアウトサイダー・アートの魅力を紹介することになったのです。
アウトサイダー・アートの一番の魅力は「表現への強い願望」です。表現者のただ、裡なる表現衝動によってのみ、この世界に生み出されたアート。名声も、冨も、売りたいという欲望も、そんなものは全く無関係に、深い深層からわき上がってくるイメージの源流。その自由さ、その独創性、その野性味に圧倒されます。既成の価値観や、美意識からなんの影響も受けずに、個人の内面から噴き出してきた色や形、それらが、なぜか懐かしくもあり、普遍的ですらあることに驚嘆します。いったい、人間にとって表現とはなんなのだろう? アウトサイダー・アートと向きあうときいつも不思議に思います。そして、自分のなかで忘れかけていた、狂おしいような表現への衝動が、再びわき上がってくるのを感じるのです。
ぜひ一度、アウトサイダー・アートの世界を垣間見てください。

2008/02/28 12:34



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