マットの上では誰も助けてくれない

 五輪代表が続々と決まってきました。いろんな競技がありますが、レスリング以外で私が気になるのは柔道。自分が中学時代までやっていたこともありますが、会社(綜合警備保障)の仲間に柔道選手がたくさんいるからです。

 入社したばかりのころ、78キロ超級の塚田真希さんから教わった言葉があります。「アスリートは孤独」最初は意味が分からなかったけど、壁に当たったとき、それを実感しました。応援してくれる人がいても、マットの上では自分一人。誰も助けてはくれないということです。だから、自分でどうにかしなければなりません。自分のレスリングを作るしかないと思って練習してきました。

 アテネ五輪のころは、何も分からず、怖いもの知らずでマットに上がっていました。きっと「生意気なヤツ」だったと思います。それから少し大人になったかもしれません。プレッシャーも感じるけど、金メダルを取って周りに恩返ししたいという気持ちが強くなりました。

 真希さんからは、ほかにも大事なことを学びました。ある日の壮行会。始まる前にサンドイッチを3人前ほどペロリと平らげ、壮行会終了後の食事会では肉、野菜、パスタ、デザート、ありったけのものを食べまくっていました。どんなに疲れていても、食べなければエネルギーは戻りません。豪快に、幸せそうに食べる姿は、私に元気を与えてくれました。(伊調 馨)

 

◆伊調 馨(いちょう・かおり)1984年6月13日、青森・八戸生まれ。24歳。綜合警備保障所属。中京女大付高―中京女大出。レスリングは3歳から八戸クラブで。02年世界選手権で初出場初V。以来、07年まで5連覇中。04年アテネ五輪を含め6年連続で世界女王に。07年5月のアジア選手権は故障で1回戦不戦敗、4年2か月ぶりの黒星を喫した。166センチ。

北京五輪
2008/07/09 10:39



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