大志の交差する島

週末は、センター試験があり、全国の若者が国公立大学入試の最初の関門に挑んだ。

弓削島では、国立弓削商船高専の入試が行われた。
カフェにも、入試を終えた生徒とその親御さんといった風のお客さまがいらっしゃっていた。

思い返せば僕が高校や大学受験をしたのは、全国の受験者人口もピークのころで、「受験戦争」なんて言葉が普通に飛び交っていた。今考えたら、戦争だなんてそんな物騒な、と少々滑稽に思えるのだが。
そんな中で、進学以外の選択肢や、大学へ行く意味、その先の進路すら考えることもせず、ただ当然のように受験の道を選んだのであった。

今の生徒たちはどうなのだろうか?
かつてのように、有名な学校に進学し、大企業に就職することは、必ずしも安定や発展を約束してくれるものではない。確信を持って安定した将来を描いている学生も、企業もほとんどないのが現実ではないか。

自分は疑うこともせず、ただ安定のレールに乗っかろうとしたが、結果として自らそこを逸脱した。
逸脱したのは自分の選択だ。
安定のレールすら空想物語のように感じられるこのご時世では、選択のタイミングは否応なくもっと早くにやってくるのかもしれない。
自分の進路を決める際に、自分の生き方、自分を活かせる場所、学ぶ目的など真剣に考えるようになっているのだとしたら、不況や不確実性の世の中も悪いことばかりではないとも思う。

県外から弓削商船高専に通うUさんのご子息は、人命救助のロボットを作るために高専を選んだ。
Uさんの言葉を借用すると、3年間、島で暮らし、島に医療機関が無いこと、病気をしたら高い乗船料の船に乗り、病院に行かねばならないこと、ロボットが人命救助をするより、自分の手で人を助けたいと、医学の道に方向転換し、今回センター試験を受けたのだそうだ。

そんな志をもった若者が、この島で勉強しているのだと思うと何とも誇らしい。
もっとも、そんな有為な人材が島を巣立っていくことは喜ばしいことでもあり、少々さみしくもある。

14日新居浜市で実施したセミナーでは、生名島出身の若者M君が、勤務地の大阪からわざわざ駆けつけてくれた。
彼は24歳。弓削商船出身ではないが、やはり県外の高専を卒業し、IT企業に勤める。
セミナー終了後に話をしたところ、いずれ上島町に戻り、島でソフトウェア開発の事業を立ち上げて、雇用を生みたいということであった。
弓削商船高専や外部の企業と連携し、ITやエネルギーなどの新産業を島に興していきたいと考えている僕は、M君と大いに意気投合し夢を語り合った。

若者が夢を持てない時代だ、なんて言葉をよく耳にする。

どっこい夢をもってる若者は、まだまだいる。
いや厳しい時代にこそ、真剣に夢を追いかける若者は多いのかもしれない。

大志をもった若者が思う存分活躍できる環境を、我々が作っておかなければならない。
我々に頼らざるとも彼らはやるのだろうけれども、だからといって我々が我々の責務を放棄してよいということにはならない。
少なくとも僕は、彼らの大志実現の力になりたい。

2012/01/17 03:15



コメント

コメントを見る (0)

コメントを投稿