コラムNo.3 「“文化”を媒介とした、交流による地域活性化を!」(木村乃)
コラムNo.3 “文化”を媒介とした、交流による地域活性化を!
株式会社ビズデザイン代表取締役 木村 乃(アドバイザリーボードメンバー)
筆者は昨年5月末までの5年間、民間人の任期付採用制度により神奈川県の三浦市役所に在籍した。市役所では、政策経営室長、政策経営部長、理事(政策経営担当)と役職名が変わったものの、ミッションは一貫してまちづくり政策全般と行政経営改革の立案及び実行指揮であった。その中で注力してきたことのひとつがシティセールスである。私たちがとったシティセールスの戦略は、「露出による刺激のフィードバック」とでもいうべきものだった。フィードバックしたかったのは「愛郷心」である。
■スクリーン、テレビを通して観るわがまちの姿を再発見
フィルムコミッション。劇場用映画やテレビドラマ、CM、プロモーションビデオ等の映像作品の制作にあたって必要な“ロケ撮影”をサポートする事業である。平成16年に市役所職員有志と三浦商工会議所青年部等に所属する若手事業者たちが連携して設立した任意団体「みうら映画舎」(平成19年に「NPO法人みうら映画舎」設立)と三浦市営業開発課が今も年間数百本の撮影に対応している。
今や三浦市は「ロケの聖地」、「ロケ銀座」とまで称されるようになった。そのような状況だから、しばしば「マスメディアに露出すれば大きな宣伝効果が期待できますね」、「経済効果はどれくらいですか」等とよく言われるが、私たちの本当の狙いはそこにはない。
「寅さん」や「釣りバカ」シリーズなどのごく一部の“ご当地映画”を除いて、撮影地を探している制作者は絵はがきに載っているような景勝地にはまず関心を示さない。寂れた民家の軒先だとか、猫が徘徊しているような路地だとか。何でもない静かな海辺、磯。そんな風景や無形の風情に背景としての価値を見いだす。地元住民がふだん何の関心も寄せないような日常の風景にこそ、映像的な価値があるというわけだ。
そして、スクリーンやテレビ画面を通じてその風景を目の当たりにしたとき、地元住民はその風景や風情に対する愛着と誇りを再発見するのである。「こうして観てみると、意外といいまちだったんだな」。そう感じてもらえればしめたもの。「こんなにいいまちなんだから大切にしていかなくちゃ」。そこまで来れば本望である。
このようなフィードバックを効果的にもたらすため、市民エキストラ登録も進めた。登録者数は500人以上にのぼり、5万人市民の1%以上がこの活動に参画していることに大きな意味がある。
■都心の消費者を鏡にして自らを再発見
東京都千代田区神田に「明治大学プロデュース 三浦市東京支店“なごみま鮮果”」という店舗がある。明治大学商学部と三浦市の協働により平成18年に開業したアンテナショップだ。都心と三浦の交流を生み出す拠点とすべく三浦・三崎の郷土料理の試食会を開催したり、神田の地元催事に模擬店を出店したりと活発に活動している。
2006年の「神田縁起市」で開催された創作屋台コンペでは、「なごみま鮮果」の別バージョンとして出店した「すずみま鮮果」が優勝を獲得した。学生たちと一緒になって催事を盛り上げ、都市住民の好意的な反応を肌で実感するという体験は、普段三浦市内で客待ち