コラムNo.4 この観光不況はいつまで続くのか(その1)前田豪

コラムNo.4 この観光不況はいつまで続くのか(その1)
         
                                                                                                           
                                    株式会社リージョナルプランニング代表 前田 豪(アドバイザリーボードメンバー)

  国内の観光地は、2004年にようやくバブル崩壊後からの長い低迷に底を打ったかに思えたが、2007年からまた下降し、アメリカのサブプライムローンの破綻が顕在化した2008年秋になって、一気に暴風域に突入した感がある。2009年に入ってからはさらに観光客の落ち込みが顕著になったところもあり、この状態が続くと、病後の回復が充分でないところに、強烈なパンチを見舞われた如く、「えっ!あそこのホテルが!?」といわれるようなところが倒産の憂き目に遭いかねない。
  それだけではなく、バブル崩壊によって倒産した宿泊施設を格安で手に入れたファンドが、そこそこ手入れをして経営を再開したところも、ファンド本体が今回の不況によって大きなダメージを受け、“副業”というか、“ころがし(?)”として経営するどころではなくなり、“再倒産”の可能性が出てきたところもありそうだ。なんとも厳しい状況になったものだ。

■行きたい観光地が少ない日本
 しかし、わが国の観光業を戦に例え、これが「天の時」とすれは、真の再生のために、そしてかつて「ジパング」と呼ばれたように、世界の人が憧れる観光立国を目指すならば、中途半端な改革や「虫歯に砂糖」のような“逆行”した施策ではなく、大悟徹底するときである、ということなのではなかろうか。
  昨今観光旅行が減った最大の原因は、経済不況もさりながら、国民生活の先行きの不安と、それを押し除けてまで行きたくなるような観光地・施設が少なくなったことが大きいと考えている。一世紀の間に何度も使われる“百年に一度”の不況とはいえ、あっさり将棋倒しになる(?)ような脆弱な体質は、借金を前提にした設備投資体質と、変動(景気・社会変動や季節変動等)が不可避の事業であり、ならせばファンドや商社が手を出すような利益の大きい商売ではない一方、喜びは無限大な事業であることの認識・覚悟の不足にあると考えている。

■行き甲斐・見甲斐創出こそ最高の不況対策
 国民はそれなりに資産を持っているものの、不況の先行き、株価の下落、年金に対する不安等から、生活が自己防衛的になり、のんびり旅行に出掛けようという気分になれないのだ。JTBのキャッチコピー「衣食住・(そして)旅」とはよく言ったものだ。無論、いずれのレベルも上がってきてはいるが、ゆとりあっての旅なのだ。バラまきの経済対策では、決してゆとりは生まれない。
 しかし、観光旅行に行きたいという欲求は高くなっている。だから、高速道路料金が一部を除いて一律1,000円になった3月28,29日は、大都市より遠い観光地は大賑わいとなったのだ。円高で、サーチャージ代が大幅に下がった結果、今年のゴールデンウィークに海外旅行に出掛ける人が対前年比10%増というのも同様だ。とりわけ料金が高いハワイやオセアニア、ヨーロッパ等の長距離方面が好調というのは象徴的だ。
 「機会があればいつか見たい・行きたいと思っていた」ところは、機会さえ創れば観光客は確実に来てくれるのだ。つまり、紐が締められた財布を開かせるだけの、「行き甲斐・見甲斐」のある観光地・観光施設にし、そこに行きやすくすることが、最高の、か

◆コラム◆
2009/06/03 11:33