ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第9弾!!今回は山中貞雄の現存する稀少な作品の一本について語る!
「スカパー!」の公認ガイド誌「月刊スカパー!」(ぴあ刊)とチャンネルNECOがコラボする連載コラム。NECOで放送する映画やドラマの見どころを気鋭の映画ライターさんたちが思い入れたっぷりに語り尽くしてくれます。
第9回の今回は、10月に放送する『河内山宗俊』について、映画評論家の金澤誠さんが、本作の中に見る“生のきらめき”について熱く語る!
社会の底辺に生きる者の生のきらめきを描出
鬼才や異才など、さまざまな形容詞で称される映画監督は数多いが、日本映画史において、“天才”と呼ばれ続けた数少ない一人が山中貞雄である。彼は28歳の若さで中国で戦病死するまで、20数本の映画を遺した。その多くが時代劇を変革させた斬新な映画と伝えられるが、完全に近い形でフィルムが現存するのは3本のみ。『河内山宗俊』はそのうちの1本である。
主人公の河内山は、河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の歌舞伎「天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)に登場する悪党で、その後、講釈師・二代目松林伯円(まつばやしはくえん)が「天保六花撰(てんぽうろっかせん」に翻案したことから世に知られた名物キャラクター。これを基に山中が原作を書き、三村伸太郎が脚色して大胆なアレンジを行った。
山中版・河内山は、イカサマ将棋で小金を稼ぐ、情婦のヒモとして暮らしている社会のはみ出し者。彼はひょんなことから土地の顔役・森田屋の用心棒をしている金子市之丞と友情で結ばれる。彼らは弟・広太郎(別名=直侍)を心配しながらひたむきに生きる甘酒屋のお浪に同情し、分別のない広太郎の所業によって彼女が身売りする危機に陥ったとき、命を懸けて彼女を守ろうとする。
これは山中と前進座俳優陣との二度目のコンビ作。河原崎長十郎の河内山と、中村翫右衛門の金子市之丞。人生の目的を失ってその日を生きる二人の男が、当時10代の原節子扮する少女・お浪のため、命懸けになる場面がいい。金子市之丞は河内山に『わしはな、これで人間になった気がするよ。今まで無駄飯ばかり食ってきた男だが、今度はそうじゃないだろう。人のために喜んで死ねるなら、人間、一人前じゃないかな』と語りかける。
山中監督は、ユーモアを交えて軽快なタッチで人間を描くところに独自
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