編集部員・菊地高弘の「野球楽屋噺」第3回※バックナンバーはコチラ!
岩隈と対戦できなかった男<1>→http://kozo.weblogs.jp/kozo/2009/09/post-a2af.html
岩隈と対戦できなかった男<2>→http://kozo.weblogs.jp/kozo/2009/09/post-31fd.html
第3回・岩隈と対戦できなかった男<3>
生まれて初めてKスタ宮城にやって来ました。スタンド、グラウンドを通してクリムゾンレッドと鮮やかな緑を基調とした配色の対比が何となく艶っぽく感じられて、地方球場にありがちな「寂れ」とは縁遠い球場でした。
三塁側ベンチ前に楽天の広報の方を訪ねると「岩隈は今キャッチボールをしてます。取材は練習が終わってから、応接室でやりましょう」とのこと。センター方向を見ると、確かに岩隈投手が軽いキャッチボールをしていました。写真はスタンドから撮影してもいいということだったので、僕とライターの武藤さんは内野スタンドづたいにバックスクリーン方向へ進み、岩隈投手に近づいていきました。
スタンドから一眼レフを通して見る岩隈投手は、やはり絵になる投手だなぁと思いました。2日前に完投勝利を収めたばかりで軽い調整のキャッチボールとはいえ、両腕を高く掲げるワインドアップ、軸足に体重を乗せる立ち姿、天性としかいいようのないヒジのしなり、相手からの返球をグラブを差し出して待つ姿、所作がいちいち美しいのです。ピーンと背筋の伸びた美しい立ち居振る舞いに、レンズが五寸釘で貫かれたように岩隈投手から離せなくなりました。
しばらくスタンド最前列の金網越しに写真を撮影していると、ふとキャッチボールをしている岩隈投手の背後に「楽天市場」のフェンス広告が重なる瞬間がありました。それは岩隈投手が文字通り「楽天」を背負っているようにも見えましたし、「楽天」が背後霊のように岩隈投手にまとわりついているようにも見えました。フェンス広告を背にしながら勇ましく投球する姿は、「エースなんだなぁ」ということを今さらながら実感させるものでした。目の前の金網に隔てられ、スタンドの高い位置から見る岩隈投手はあまりにも遠すぎて、かつては同じ西東京の高校球児だったということすら現実感が薄れてしまいました。
キャッチボールを終えた岩隈投手は、バックスクリーン手前のスペースでストレッチをしながら他の投手たちと談笑していました。僕はその姿を撮影しながら、もう一人の敵と戦わなくてはなりませんでした。その敵とは、「リンデン」です。
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