編集部員・菊地高弘の「野球楽屋噺」第4回

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岩隈と対戦できなかった男<1>http://kozo.weblogs.jp/kozo/2009/09/post-a2af.html
岩隈と対戦できなかった男<2>http://kozo.weblogs.jp/kozo/2009/09/post-31fd.html
岩隈と対戦できなかった男<3>http://kozo.weblogs.jp/kozo/2009/09/post-33dd.html

第4回・岩隈と対戦できなかった男<4>

「あの~、ものすごく私事なんですが、実は僕、岩隈投手と同じ西東京で高校野球をやってまして…」
 大きな瞳をこちらに向ける岩隈投手。僕は続けます。
「最後の夏は、岩隈さんの堀越に負けたんですよ」
 岩隈投手の瞳がさらに大きく見開かれ、口許は若干引きつっていきました。僕は、申し訳なく思いながら…
「といっても、岩隈さんは投げなかったんですけどね」
 と続けました。岩隈投手は半分驚き、半分笑っているような表情で僕をみつめ、少しの沈黙の後、半開きになっていた口から言葉を発しました。

岩「じゃあ同学年?」
菊「はい、そうなんです」
岩「へー。じゃあ中学はシニアか何かでやってたの?」

 いきなり僕の中学時代について突っ込まれたのには狼狽しましたが、それ以上に、それまで丁寧な口調で応対していた岩隈投手が、いつの間にか「同級生モード」のタメ口になっていたことのほうが驚きました。

菊「いや、中学は普通に学校で、軟式です」
岩「あー、じゃあ、部活だ」
菊「はい」
岩「高校は?」
菊「あ、中大付属という…」
岩「中大付属…。最後の夏というと、ニッツル(日大鶴ヶ丘)戦の後とか?」
菊「そうです! 堀越は3回戦でニッツルとやって、4回戦はウチ、5回戦は菅生(東海大菅生)で。ちょうどウチが強豪の谷間みたいになってまして…」
岩「球場は…、立川?」
菊「そうです」
岩「あー、ハイハイ。じゃ、ボクが投げなくて、Y(当時の堀越の2番手投手)が1日投げた試合だ」
菊「そうです、そうです!」

 もう無我夢中という言葉でしか言い表せない言葉のやり取りでした。
 僕がこうしてやっているのは、岩隈投手に「対戦していない男」についての記憶を呼び覚まそうという五里霧中の試みです。それでも、うっすらと視界が晴れていくように岩隈投手の記憶に彩りが戻っていくのを感じて、取材ということを忘れて、興奮を抑えること

編集部員・菊地高弘の「野球楽屋噺」
2009/09/28 08:00



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