女性東都ウオッチャー・山田沙希子の 戦国東都 いぶし銀観戦記(第32回)

 2012年になりました。長かった冬もようやく終わろうとしていますね。野球シーズンまであともう少しです!
 今回は昨年までの4年間、東都を、そして大学野球界を盛り上げてくれた、今年からはプロの舞台へと進むある選手をご紹介いたします。
 ぜひご一読ください。

|礼にはじまり礼に終わる
|受け継がれる真の通った野球遺伝子

 今年から千葉ロッテマリーンズでプレーをする鈴木大地(東洋大)。高橋昭雄監督も認める人間性とキャプテンシーの持ち主で、東洋大史上初となる3年生副主将となり、最上級生になると東洋大のキャプテンを務めた内野手だ。
 後にプロ入りするほど、その実力は十分の選手であることは言うまでもない。1年時から試合出場の機会を得、三塁、遊撃といずれのポジションでも堅守が光った。打撃もチームの4番を担うなど強打が持ち味。全日本代表としても活躍を見せた。
 しかしそれ以外の部分で、彼の存在はとても目立って見えていた。
 まず、打席に入る時に深く一礼する姿。球審の方へ体を向き、ヘルメットのつばを掴んで軽く頭を下げるバッターがほとんどの中にあっては、鈴木の“おじぎ”がとても目立っていた。もちろん前者を失礼などと思ったことはないが、鈴木のそれを見た時に衝撃を受けた。
 鈴木がこの動作をするきっかけは、彼の桐蔭学園時代の一学年上のある先輩の行動だった。
「その先輩がベンチと守備位置まで全力疾走していて、表彰されたんです。それで自分も何かしたいなと思いました」
 それがあの“おじぎ”になったというわけだった。
 そして昨年、彼の後輩である緒方凌介(PL学園)、戸田大貴(前橋工)も打席に入る際は球審に深々と礼をしていた。3人ともに左打者であり、クリーンアップを担っているから3人が連続で打席に入ることも多く、同じイニングで彼らの打席を見られた時は少し得な感じがした。相手チームにとっては脅威でしかなかったとは思うが…。
 また緒方に至っては鈴木と同じ背格好であり、腰の折り方まで瓜二つ。一見すると見間違えてしまうほどそっくりだった。

 鈴木は全力疾走も心がけており、攻守交代の際はセンターを守っていた小田裕也と速さを競うようにしてグラウンドを駆けている場面も見られた。 
 この小田は非常に俊足であり、一方の鈴木は決して足が速いとは言えない選手。以前、あまりにも足が速い小田に対してイヤミを言うことがあると言っていた。どういったことですか? と向けると「お前、足速いなあって」と返ってきた。
 それがイヤミ? 本当はもっと過激なことを言ってたのかな? そうでなければこれほど優しいイヤミなんて聞いたことがない。これも鈴木らしさなのだろうか。

 前回の編集部ログで紹介した立正大・吉田裕太は、この鈴木の全力疾走に感銘を受けて、すぐに自身も実行するようになった。また、打席に入る際の動作も直属の後輩が真似をしている。その鈴木自身も、一人の先輩の姿に影響を受けた選手の一人だ。

女子大生ライター・山田沙希子の 戦国東都 いぶし銀観戦記
2012/02/01 12:31



コメント

コメントを見る (0)

コメントを投稿

* コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。