ベルギー王国大使館公使のメッセージ(50号、2010年10月9日発行)『将棋を世界に広める会』ISPSの15周年に当たり、将棋に対する印象を皆様にお伝えする機会を得ましたことを大変光栄に存じます。現在、東京在住のべ ルギー人外交官ですが、2008年、日本に着任後ほどなくして将棋という魅力的なゲームに接し、たちまち魅了され今日に到っております。この度、ISPS の組織活動の中心である将棋の普及促進についての視点を述べるようお話をいただきましたので、非正統的もしくは物議を醸しかねないと思いつつも、私見を述 べさせて頂きます。(ベルギー王国日本大使館公使 フレデリク・ヴェルハイデン)
日本語の良くわからない外国人にとって、将棋の世界が全く閉ざされているものだとは、日本の人々には中々わからないかもしれません。日本においてはとてもポピュラーな将棋ですが、外国人には見つけにくいものなのです。外国のメディアが関心を寄せることはほとんどありません。奇妙な無意味なものとして遠ざけられ、将棋を指している姿を外国人が見ることはほとんどありません。たとえ、誰かが将棋を指している場面に出会ったとしても、何か神秘性をかもし出す無彩色の駒が、動き回り、飛び跳ね、相手の駒を取り、取られた駒が再び盤に戻っていく様子は、通りがかりの者には、ただ不可思議なものとしてしか感じとれないのです。ですから、将棋は古代からの日本伝統文化の一部であるにもかかわらず、残念ながら、日本在住の外国人にはほとんど知られていないのはそう驚くことではありません。彼らが、なぜお茶、生け花、相撲、流鏑馬、舞踊や能・歌舞伎といった踊りや演劇、音楽などを良く知っているのか、という疑問は残りますが。
私の場合は、正に偶然、しかも一連の幸運によって将棋に出会いました。日本に着いた日のことです。時差ぼけで眠れぬままに、ケーブルテレビの将棋チャンネルを適当に変えつつ将棋を見て過ごしたのが最初の出会いです。後日、東京でチェスのできる場所を散々探しまわったのですが中々見つからず、やっと見つけたのが飯田橋にある日仏学院の『チェス&将棋クラブ』でした。偶然にも、そこでISPSの寺尾氏、ピノー氏にお会いしたのです。
しかし、将棋の海外普及を偶然に頼ろうとするのは無理な話です。戦略としては、より効果的と思われる要素を拾い上げることではないでしょうか。
《標的とすべき対象》
普及活動には、支持基盤とエリート、この二つを生み出すことが求められます。それぞれの標的に、異なる戦略を定めるべきだと思います。一方は、例えば漫画やアニメなどの一般的な文化や日本の伝統文化を通して、既に日本文化に魅力を感じている人々に対してであり、もう一方は、チェスに似たゲームに精通した人びとです。精通した人びとは複雑な将棋を十二分に理解し、選手レベルに達することもできましょう。ある話を聞きました。数年前、ヨーロッパのポーカーの団体が、チェスプレーヤーにポーカーの普及を図ったそうです。相当な熱意を持って行ったようですが、結果として、幾人かのチェスプレーヤーは、今や自分の専門はポーカーだと言う様になるまでの成功を収めたそうです。しかしながら、もしこの方法を生かすのであれば、常に双方向の道を用意すべきだと思います。一方的にチェスプレーヤーに対して将棋の普及活動をするだけではなく、たとえば、将棋の棋士が、チェスの大会に出場すると言うのはいかがでしょうか。チェス界にとって非常に素晴らしいニュースになるとともに、日本国外への将棋普及に役立つことは間違いありません。無論、こうした交流の動きが適切に準備されたという前提の下ですが。
《各国のパートナーと連携》
我国ベルギーのみを見ても、幸運にも二百を超える日本企業の投資先となり、一万人以上の日本人専門家や会社員の家族の暮らす国となっています。表面化しにくい面もありますが、海外駐在官僚や「日本財団」のような団体は言うまでもなく、世界中の日本人学
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