二宮圭一という美術家二宮さんと初めて出会ったのは大学一年の確か夏ごろ。共通の友人のサワムラという人物が油画科に大分出身でスゴいやつがいると、紹介されたのが初めてだったと記憶している。二宮は油画科、僕は建築科だったので講義科目での接点はあまりなかったが、彼はボクシング部で僕は剣道部、練習日が同じで、夕方更衣室でたまに挨拶することがあった。
学生時代の二宮さんはボク部らしく丸坊主で、いまのような柔らかい雰囲気とはかけはなれていたような気がする。どちらかというと肉食系の野生動物といった感じ。少なくとも気やすく声をかけられるようなタイプではなかった。当時から学内でも有名人で、油画科の友人たちとの会話ではよく名前が出ていた人物だ。
大学二年のとき、一度だけ学内で行われていたボクシング部の対外試合を見たことがある。学生ボクシングを見たことがある人はわかると思うが、はてしない、(ただの)殴り合いである。どちらが先に倒れるか、技術なんかは二の次だ。二宮さんの試合は最初から相手を威圧していた。相手のパンチはほとんど貰わないまま、ノックアウトだった。これが僕の学生時代の二宮圭一の印象である。
その後、ニューヨークに渡ったこと。帰って来て大分で美術研究所をはじめたことは人づてに聞いていたが、再会するのはいまから三年くらい前である。
現在NHKで放送中の「小さな肖像」は、10年続く大分局制作の番組である。二宮さんがカメラを持って県内を彷徨いながら出会った人にインタビューし、スケッチを描く。天井からつり下げられているのがいままで描きためた水彩画、肖像画だ。
なんだか、インタビューしたひとの魂が浮遊しているようだ。
だが、どれもまったく怖さが無い、善良なサーフェイス。
どちらかというと、天国的。あるいは極楽的?(肖像になった、ほとんどの人はまだご健在だと思います。)
二宮が勝手に成仏させてしまった、という感じはある。
▼月刊誌「conka」連載の「二宮雑感」のシリーズ。
大分での活動を知ったのは、conka編集長のヒメノさんの紹介だった。
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