ギリシャ債務問題からのユーロ崩壊の可能性は低い※このコラムは上田ハーローFX 週間ニュースに掲載しているものです。
今月2月12日からカナダのバンクーバーで冬季オリンピックが開催される。日本の代表選手も現地入りするなど、巷もオリンピックムードになってきた。フィギュアスケートやモーグルなどメダルの獲得の期待が高い種目もあり、今年最初の大きなイベントとして楽しみである。
オリンピックといえば、発祥の地のギリシャの債務の問題が昨年12月ドバイ・ショック以降クローズアップされ、これがユーロを押し下げる要因となっている。
ギリシャの債務問題とはそもそも何かということになるが、ギリシャは1981年の2次拡大でEUに加盟、2001年のユーロ流通開始前から財政赤字には懸念があった。世界的な経済危機が発生する前までは年4%の高い成長率を誇っていたが、同時に財政赤字もGDP比で3~8%ほど増加していた。しかも、昨年10月にギリシャ政府から2008年の財政収支と債務のデータに誤りがあったとして、財政赤字の比率が7.7%と約2倍に修正されるなど、増大する赤字からギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る懸念が出てきたというものだ。
現在、公表されている最新の数字でも財政赤字のGDP比は12.7%に達しており、このままでは財政赤字は2010年以降もEUが定めた財政基盤の3%からはかけ離れたものとなり、ギリシャ政府は2012年までに3%を達成するとしているが、到底不可能な状況である。また、公的債務もGDP比100%を超え、EU加盟国の基準の60%も大きく上回っている。こうしたことを受け、格付け機関フィッチやS&Pは相次いでギリシャのソブリン格付けを「A-」から「BBB+」へと1段階引き下げた。金融市場では急速にデフォルトリスクが高まったことでCDSプロテクション(信用リスクを回避したい場合の保険のようなもの)が買われ、スプレッドも拡大している。
こうした現状を見て、1999年1月から導入され10年が経過したユーロが、財政規律の乱れから崩壊に向かうという根強い「崩壊論者」もいる。歴史をたどれば1958年の欧州経済共同体(EEC)から約半世紀の時間をかけて統一してきたユーロが簡単に崩壊に至るとは考えにくく、最悪の場合にはギリシャがEUから離脱といことになるのではないだろうか。ただ、この場合はユーロの信認が大きく揺らぐことに繋がると思われ、ユーロが低迷する可能性がある。